Ave-3Fとは、レース全体のタイムから上がり3ハロンのタイムを引いたタイムを、その残りの距離で割って3ハロン分に換算したものです。つまり、上がり3ハロンの位置までの前半の3ハロン平均タイムになります。速度は距離をタイムで割ったものですから、このタイムと上がり3ハロンタイムの2つの数値の比較だけで、速度の変化がわかります。つまり、その位置の前後でどの程度のスピードの差があったのかということを判定しやすくしてあります。また、これをひとつの数値として表したものがPCIになります。
(走破タイム-上がりタイム)x600
Ave-3F =----------------------
距離-600
JRA-VANのデータにはテンの3ハロンのタイムデータはありませんが、1200mという距離であれば、このAve-3Fという数値はテンの3ハロンのタイムと一致します。そして、この数値は前半部分の平均値ですから、1200m付近の距離であれば同様にテンの3ハロンタイムと同様の扱いをすることも可能です。
成績画面、馬データ画面、タイムランク画面で上がり3ハロンと並べて表示されますので、比較しやすくなると思います。また、タイム分析では、このAve-3Fも含め、そこから派生した値をいくつか表示可能になっています。
◆ペースの判断
競馬の予想では、よくペースという言葉が使われます。この場合、ほとんどのケースでその判断の基とされるのがラップタイムです。ですが、ご存知のようにラップタイムとは逃げ馬のタイムで、必ずしも全馬のペースを表しているとは限りません。例えば、1頭が大逃げを打ったような場合、その馬のペースと後方の馬のペースは明らかに違っています。また、縦長になったような場合も同様で、こちらも先頭と後方では、数秒の違いがあります。もちろん1頭ごとにラップタイムがあれば個別に判断できますが、実際にはありませんので、このAve-3F値を使って推定します。大逃げを打ったようなレースの成績を見ればすぐにわかりますが、逃げた馬は上がりタイムの方がかなり遅くなりますが、追い込んだ馬は上がりの方が速くなるというケースは結構あります。もちろん、縦長になるような展開では、仕掛けが早めになるために厳しい流れになることもよくありますが、より正確に各馬の走りを知るためにもこの数値を利用して下さい。
また、このような場合以外でも、本来ペースというものは、各馬個別にあると考えるのが自然です。つまり、全く一団となって走っていたとしても、ある馬は後半バテれば、その馬にとってはきつい流れだったはずですし、逆に楽に追走して、直線でスパートするようであれば、その馬にとっては楽なペースだったわけです。このように、一団となって走っている場合でも、各馬のペースを1通りに決定するのは無理がある場合もあるわけで、できればやはり各馬ごとにペース等の判定をした方が良いわけです。
◆テンの3ハロンタイムの信頼度
競馬新聞にはテンの3ハロンの数値が載っているものも多く、予想でテンの3ハロンの数値を重視している方も多いかと思いますが、テンの3ハロンのタイムは、上がり3ハロンのタイムと比較すると、その扱いには慎重になる必要があります。というのも、上がり3ハロンタイムは、競馬場が同じであれば、芝・ダートそれぞれで同じ箇所を走ることになりますが、テンの3ハロンというのは、競馬場が同じでも、距離によって全く違う箇所を走るわけですから、そのタイムを直接比較することには問題があります。スタートしてすぐにコーナーのコースもあれば、ずっと直線が続くコースもありまし、ダートでは、最初が芝というコースもあるわけで、違うコースの数値を比較する場合には細心の注意が必要になります。
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