TARGET frontier JVは競馬用のデータベースソフトですので、その機能を利用するためには、過去の競馬のデータが必要になります。

　JRA-VAN Data Labには1986年以降のデータが登録されています。その全てのデータをTARGETに登録する作業がこのフルセットアップです。登録されているデータの量が膨大ですので、コンピュータのスペックや環境、ハードディスクの性能にもよりますが、５時間から場合によっては20時間以上かかることもあります。また、データは今後も毎日増加し続けていますので、このフルセットアップにかかる時間はさらに増加し続けることになります。

　TARGET frontierを試しに利用してみたいという場合には、それだけ長い時間を割くのは難しいと思いますので、そのような場合には、30分～数時間程度で完了する簡易セットアップ機能も用意しましたので、あまり時間が取れないような場合には、とりあえずこちらを実行してみて下さい。簡易セットアップだけでもTARGET frontier JVのかなりの機能を利用することが可能です。その後、時間があるときにこちらのフルセットアップを実行するようにして下さい。

　2003年末現在の過去18年分のデータを全て登録すると、ハードディスクの容量としては、1.3G程必要になります。しかし、1.3Gを単純に18で割っても１年分のデータにはなりません。というのも、例えば坂路調教データは2003年からのデータしかありませんし、また票数データも、以前は単複枠連のみですが、その後馬連、ワイド、馬単、３連複と増え、今後は３連単も加わります。また、地方競馬のレースも以前は交流レースはほとんどありませんでしたが、最近はかなりの数に上っています。このように年単位のデータ量は近年の方が増加しており、今後もこの傾向は続くと思われますので、１年分のデータの総量がどの程度になるのかは、現状ではわかりません。

　セットアップという機能は元々はJRA-VAN Data Labが用意した機能で、本来であれば、ボタンひとつで過去の全データを取得できるというプログラマにとっても大変楽でありがたい機能なのですが、それにかかる時間が膨大なため、この機能をそのまま利用することができません。

　JRA-VAN Data Labのデータは、いくつかのカテゴリに別れています。そこで、TARGET frontier JVでは、それらを以下の４つに分けてセットアップできるようにして、セットアップ自体を分割して行なえるようにしています。


レースデータ 出馬表・成績・票数・スケジュール
マスターデータ 競走馬・騎手・調教師・馬主・生産者・レコード
血統データ 種牡馬・繁殖牝馬・産駒
坂路調教データ 坂路調教

　基本的には、全てのデータを登録した方が良いのですが、例えば坂路調教データ等は、必要なければ、全く登録しなくても問題ありません。データベースのデータとしては、末端に存在するものですから、それ自体が目的となっていなければ、登録する必要はありません。また、産駒データに関しましても同様で、産駒データとは未登録馬のデータですので、純粋に予想等だけに利用するのであれば、基本的には必要の無いデータになります。環境設定のJRA-VANデータ登録の中に、この２つのデータを登録しない指定がありますので、必要の無い場合は、あらかじめ指定しておくと、セットアップだけでなく、通常データ登録でも登録しなくなります。特に坂路調教は年間60万件ものデータになりますので、必要かどうか十分に検討して下さい。また、後から特定のデータだけを全て登録することも可能です。

　４つの項目のうち、一番時間がかかるのはレースデータです。登録全体のほとんどの時間はこの項目に使われます。上の４項目の処理にかかる時間の比は2003年末の時点で、だいたい10:1:2:2というところです。ただし、今後は坂路調教データが急速に増えますのでこの比率は徐々に変化すると思われます。

　この４項目から登録する項目にチェックを入れ、開始ボタンを押し、その後のCD-ROMの挿入等の指示に従えばセットアップが開始します。後は待つだけです。

　ウイルス監視やシステム監視等の常駐ソフトが起動されている場合、それらを終了させておくと登録時間を大幅に短縮できる場合があります。２～５割も時間を短縮できますので、可能であれば常駐を解除して下さい。もちろん、その間はウイルス等に対しては無防備になりますので、インターネットでのアクセスやメールを読んだりはしないようにして下さい。終了後は、ただちに再起動して、常駐を戻してください。

　登録中は、画面が登録経過画面に切り替わり、現在処理しているファイル名やデータの種類、処理時間等が表示されます。ファイル名は日付を表している場合が多いので、画面を確認すれば、現在処理中のデータがいつ頃のデータかがわかります。レースデータ及び調教データはほぼ時系列順にデータ来ますので、１ヶ月分のデータの処理時間や、処理したデータの年数とかかった時間を考えれば、それで大体の終了時間が予想できると思います。ただし、レースデータは前述のように最近に近いほどデータの量が増えていますので、後半になるほど時間がかかります。また、同一のファイル名のデータが連続して登録される場合がありますが、これはファイル巨大なために分割されているためです。

セットアップ作業は、中断することが可能です。ただし、再開する場合は、その途中から再開するというよりは、再度最初から登録を開始して、登録済みのデータをスキップするという方式を取っています。というのも、Data Labのデータ提供の仕様から考えると、現状ではこの方式の方が安全だからです。画面上の経過表示でも、その実際の処理過程が確認できます。

　各項目には、登録の状態に合わせ、未登録・中断中・登録済の３つの状態があります。登録済になるとチェックできなくなります。全て登録済になれば、もうセットアップする必要はありません。

　セットアップ後は、通常のデータ登録で日々のデータを更新しますが、いづれかの項目が未登録または中断中に通常のデータ登録をしても登録されるデータには影響はありません。どのような順番で登録しても基本的にはデータは正常に登録されます。ただし、どこかに未登録のデータが存在している状況下では、検索等が正常に行えない可能性がありますので、その点だけ注意して下さい。特にレースデータはデータベースの根幹を成すデータですので、なるべく早いうちに全て登録するようにして下さい。

◆処理時間について

　上記のように、フルセットアップで登録されるデータの量は、日々増えています。ですので、フルセットアップを行なう時期によって、そのかかる時間は変化(増加)します。ちなみに、2003年一杯程度の時点では、Pentium 1GHzのマシンで、約６時間～20時間かかっています。幅があるのは実際のテストの結果で、OS等の環境による影響も大きいようで、詳細な理由は不明です。

　登録中の処理は、TARGET frontier JVだけでなく、OSも当然ですが、JV-Link自体もかなりの処理をしていますので、TARGET frontierだけ改善を行なったとしても、それほど時間を短縮することはできないと思われます。また、フルセットアップというのは、基本的には１度行なえばもう２度とする必要の無い作業ですから、少々高い障壁かもしれませんが、なんとか越えてください。

◆登録中のエラー等について

　データの登録は、主にTARGET frontier JVがデータベースを構築する作業と、JV-LinkというJRA-VANのソフトがインターネットやCD-ROM等からデータを読み込んで、TARGETに渡す作業の２つに分かれています。そして、データ登録中にエラーメッセージ等が表示される場合がありますが、そのメッセージ内にJV-Linkと表示されている場合は主にJV-Linkに関する部分のエラーになります。このメッセージはTARGET frontier JVが表示をしていますが、TARGETはJV-Linkを呼び出しているだけで、この部分はJV-Linkが処理をしています。ですので、こちらに関しては、ヘルプ内のQ&AやサポートホームページのQ&A等を確認後、JRA-VANにお問い合わせ下さい。

◆データ付きCD-ROM版

　過去のデータ付きのCD-ROMをご利用の場合は、最初の起動時に過去のデータが自動的に展開され、フルセットアップが完了している状態で実行されますので、フルセットアップ等の作業は必要ありません。CD-ROMに収録されているデータ以降のデータについては、全て通常のデータ登録作業で登録されますので、最初のデータ登録を完了した時点で、全てのデータが整います。なお、データ登録作業では、基準タイムファイルはダウンロードされませんので、補正タイム等の指数を見たい場合には別途登録して下さい。